低温期型サツマシジミの羽化

昨年の秋に三重県南部で母蝶採集し、強制採卵で飼育していたサツマシジミがようやく羽化しました。今回は強制採卵に失敗したので、蛹まで育てることができたのは4頭だけでした。

この時期にサツマシジミを飼育すると本当に綺麗で大きな低温期型の個体が羽化します。夏に採れる高温期型のサツマシジミとはまるで別種のようです。但し、この時期は餌の確保が大変で飼育には苦労します。

私は専らビワの蕾や花を餌にしていますが、どうしても日持ちがせずカビも生えやすくなります。又、中齢以降の幼虫は食欲も旺盛で蕾と花しか食べないので多くの個体を飼育する場合は本当に餌の確保が大変です。

更にビワの蕾や花には必ずと言って良いほどアザミウマの仲間が付いており、どうもこれが幼虫に悪さをするようです。蕾の時は見えていなくてもいつの間にか次から次へと発生してきて、飼育ケースの中はアザミウマだらけになってしまいます。見つけ次第つぶして処理するのですが、きりが有りません。

最近は蕾を真空容器に入れ、冷蔵庫(冷凍室ではありません)で2~3日冷蔵保管することでアザミウマの発生を抑える方法を発見したので、何とか上手くいっています。

又、ビワの蕾が調達できないときは、代用食としてエンドウ豆、等でも飼育したことがありますが、過去には食べなかったこともあったので確実な餌ではないような気がします。

来年は母蝶採集および強制採卵を成功させてこのような美しいサツマシジミを多く羽化させていと思います。

7月と8月に野外採集した高温期型のサツマシジミ。

低温期型と比べると一回り小さく、雄の表面の色合いは低温期型と大きくは変わらないですが、雌の表面の色合いは黒化して裏面をみないと品種の確認もはっきりしないくらいです。

5月に野外採集した低温期型のサツマシジミ。

飼育下では冬にも羽化するサツマシジミですが、三重県では自然状態では5月上旬に発生する個体が大型で美しい低温期型になります。